タイのビジネスコンサルタント
会社設立、登記事項変更、BOI認可申請、労働許可申請、就業規則作成など
 

  自分の舌で判断する




 2月14日から18日まで広島に行ってきました。日本に帰ると楽しみなのが食事で、タイにも日本料理店はたくさんありますが、やはり刺身、寿司ということになりますと各段の差があり、なまじ好きなだけに、タイでは食べようという気にもなりません。タイでは全く食べないので、日本に帰ると狂ったように、刺身、寿司を食べまくります。
 いつもあらかじめ友人に、おこぜがあったらおこぜを仕入れておいてくれように料理屋に頼んでおいてくれと言っているのですが、おこぜは夏の魚だと相手にしてくれない料理屋もあるそうです。確かに一般的にはおこぜは夏の魚とされてはいますが、年中いつでも獲れるはずです。たとえば、秋が産卵期でそれをすぎるとやせ細っているので、産卵直前の夏が一番うまいとか、産卵直後の冬はまずいとか、何らかの理由があって、おこぜの旬は夏というのであればわかるのですが、おこぜ夏説には特に根拠なんてないと思います。根拠があるとすれば、俳句の季語になっていることぐらいでしょうか。しかしこんなものが根拠といえるのでしょうか。昔の人たちがおこぜは夏がうまいと勝手に言い、俳句の季語にしたというだけで、それに倣う必要はありません。産卵後はやせ細っていてうまくないかもしれませんが、夏でも冬でもうまいのですから、冬に食ってもいいと思いますけど。
 ・・・というのは、20年前に大阪の料理屋から教わったことです(今でも大阪に行ったときには必ず行ってますけど)。当時、私は茨城県に住んでいたましたが、年末年始の休暇で大阪に行ったとき、とある料理屋に入りました。すると、メニューに「おこぜ」とあるじゃありませんか。おこぜって夏の魚ですよね、と聞くと、料理人曰く、「一般的には夏の魚とされているが、動かない魚なので年中いつでも獲れる、夏でもうまいが、個人的には冬が一番うまいと思っている、だからお客さんにお出ししている」・・・さすが大阪の料理人です。夏が旬のおこぜを冬に出すなんて、ここの料理人、ちょっとおかしんじゃないの?と思う客もいるかもしれません。しかし、そんなことは気にせず、自分がうまいと思っているから出す、人間、何をするにしても、こうありたいものです。
 その他、おこぜは冬がうまいと言っている料理人はいないものかとネットで検索してみたところ、2件ブログが見つかりました。以下は料理人のブログから抜粋したものです。

 オコゼは、初秋から初春が旬です。オコゼの味は、周年あまり変わりませんが、その中でも、特に今頃から冬場にかけてが最も美味しい時期です。(※日付は11月13日でした)

 オコゼの旬は?と聞かれますと、私は即座に「冬」と言います。冬は身も絞まった上に、脂を蓄え、肝も大きくなり美味しくなります。とは言え、オコゼはあまり動きの少ない魚なので、意外と年中いつ食べても美味しいのもまたひとつの特徴でないかと思います。

 いつも思うのですが、どんな食べ物でも、いつ食べるものとか、こう食べないといけないとか、そんな決まり事など、ないと思います。餅は正月でないと食べてはいけないのか?正月のほうがうまいのか?おこぜだって同じです。夏でないとダメなのか?夏のほうがうまいのか?おこぜを「夏の魚だ」というのは、餅を「正月の食べ物だ」というのと同じことです。餅は正月でなければ食べてはいけないのか?夏はまずいのか?冷やし中華は夏でないと食べてはいけないのか?冬はまずいのか?確かに冷やし中華は夏のほうがさっぱりしてうまいと感じるかもしれませんが、それは気候がそう感じさせているだけで、冷やし中華そのものに変わりはありません。いつの食べ物か、いつ食べるか、そんなことは食べる人が決めればいいことで、食べたいときに食べたいものを食べればいいじゃないですか。一般通念、既成概念、常識と言われているものにとらわれず、自分がうまいと思うものを食べる、たとえば、ヒラメとカレイがあるとします。どっちか選べと言われたら、どっちを選ぶか?ヒラメとカレイとでは格が違います。本当にヒラメのほうがうまいと思ってヒラメを食べるのであればいいのですが、自分の好みではなく、一般通念上の格の違いだけでヒラメを選ぶのは、貧乏人根性というやつです。安いものを注文することが貧乏人根性なのではありません。ほんとはカレイのほうがうまいと思っているが、カレイを選ぶと味がわからないヤツと思われるのではないか、ヒラメのほうが格上、値段が高い、グルメはヒラメを選ぶもの、こういうのを本当の貧乏人根性といいます。「貧乏人」と「貧乏人根性」は違います。金は持っていても根性は貧乏人、金は持っていなくても根性は貧乏人でない、決して珍しい現象ではないと思います。
 ちなみに私はカレイのほうが断然好きです。カレイのほうがうまいと思うからです。高級魚とか、低級魚とか、そんなことはどうだっていい、やれ、味がわかるだの、わからないだの、そんなこともどうだっていい、自分が食べてうまいと思うものを食べる、それでいいじゃないですか。
 「一般通念、既成概念、常識と言われているものにとらわれず・・・」食べ物だけでなく、いろいろな面で言えることだと思います。たとえば、「なぜBOIの認可を取ろうと思っているのか」と聞いても、きちんと答えらない人のほうが多いです。「製造業はBOIの認可を取るのが一般的だと聞いたから」・・・自分の舌で判断せず、「おこぜの旬は夏だから夏に食べるもの」「カレイよりヒラメのほうが高級とされているからヒラメを食べる」というのと同じです。BOIの認可は、メリットとデメリットがあります。自分にはどっちがうまいのかをよく考えるべきなのですが、「取るのが一般的と聞いたから」がほとんどです。一般通念、既成概念は、独自性と対峙しているもので、そういうのにとらわれていたら、独自性なんて発達しません。言い切ってもいいと思います。人と同じことをやっていたのでは人以上のことはできない、当たり前のことで、他社と同じことをしていては他社以上のことはできない、何か他社と違うことをやらなければいけない、という意識は誰もが持っているようなのですが、ほとんどの人がここに矛盾を抱えています。「何か他社と違うことをやらなければいけない」「他社以上のクオリティを出さなくてはいけない」という理念とは裏腹に、やっていることは「一般通念」「既成概念」です。人と違ったことはやろうとしません。「人と同じことをやっていたのではそれ以上のことはできない」と思いつつも人と同じことをする、矛盾してますよね?中公新書だったと思うのですが、「世界の日本人ジョーク集」という本があり、その中に、

 あるとき船が遭難した。船長が乗船客に早く海に飛び込めというものの、誰も怖がって飛び込もうとしない、そこで船長は、アメリカ人には「飛び込めば英雄になれる」と言った。フランス人には「飛び込めば女性にもてる」と言った。ドイツ人には「飛び込むのがこの船の規則」と言った。日本人には「みんな飛び込んでますよ」と言った。

 食事にハエが入っていた。アメリカ人は、コックを呼び、訴訟を起こすと騒ぎ立てた。フランス人は、ハエを潰し、ダシをとって食べた。ドイツ人は、加熱されているから問題ないと言って食べた。日本人はそっと周りを見渡し、他の人の食事にもハエが入っているかどうかを観察した。

なんてのがあったのを記憶しています。これには笑ってしまいましたが、まさにこのジョークのとおり、日本人はみんなと同じだったら安心するところがありますし、行動原理は「みんなそうしているから」という傾向が強いと思います。
 たとえば、日系企業はだいたい自動車をリースするのですが、なぜ買うことを検討しないのか、いつも不思議に思います。リースにも購入にも、それぞれメリット、デメリットがありますが、日本でのメリット、デメリットがタイでもそのとおりになるとは限りません。特に自動車は、日本では消耗品みたいなところがありますが、タイでは財産価値があります。リースにはリースのメリットがありますが、購入には購入のメリットがあります。金銭的負担はリースのほうが大きいからリース会社は利益が出ているわけですが、現実問題では、金銭的負担が軽い=購入のほうがいい、という単純なものではありません。金銭面だけでなく、いろいろな要因があり、金銭的負担は大きくても、それを上回るメリットがあればリースのほうがいいでしょうし、金銭的負担を下回るのであれば、購入のほうがいいでしょう。
 リースがいいか、購入がいいか、同じ会社であっても、日本本社ではリースのほうがメリットになるが、タイ法人では購入のほうがメリットになるという場合もあると思います。日本とタイとでは、事情が若干違っているのですし、同じ会社であっても、日本本社とタイ法人とでは資金繰りが違っているのですから、日本で既成概念化されたリースのメリットがタイ法人でもそのまま当てはまるとは限りません。それらをよく考えた上でリースを選択するのであればわかるのですが、たぶん、自動的に「車はリースするもの」という一般通念だけでリースを選んでいる人がほとんどだと思います。
 何をするにしても、「一般的だから」「みんなそうしているから」ではなく、自分の価値観で判断することが大切だと思うのですが、その判断能力は、日本人は極端に低いと思います。それは日本人の弱点だと思います。
 トピックス一覧
Copyright© 2017 SAITO CO.,LTD. All Rights Reserved.