SAITO CO.,LTD. บริษัท ไซโต้ จำกัด

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「移転」の定義

 BOIに認可を申請する場合、最重要事項の1つに機械がありますが、「この機械はダメ」と言っても、「ダメ」というのは、「認可事業に使ってもいいが投資枠(法人税免除額)には含まれない、関税免除にはならない」という税制面での「ダメ」という意味と、「認可事業に使ってはならない」という根本部分での「ダメ」という意味と、2つの意味があり、どちらであるのかは明確に掴んでおかないといけません。前者の場合、単に税制面での恩典がないというだけで、認可事業に使用してもかまいません。後者の場合、使用すると条件違反となり、使用禁止勧告を無視して使用し続けると、認可そのものが取り消されることもあります。
 基本的に10年以上の機械は「認可事業に使ってはならない」という意味での「ダメ」で、最初から使用してはいけないのですが、「投資枠には含まれない、関税免除の恩典もない、だが、認可事業に使用してもいい」という例外が1つだけあります。
 機械の投資額については、以下のように分けて記入します。

 2.1) New Locally-purchased machinery
 2.2) New imported machinery
 2.3) Used imported machinery
   2.3.1) Not exceeding 5 years
   2.3.2) Exceeding 5 years but not exceeding 10 years
   2.3.3) Exceeding 10 years (only for relocation cases)

 以上のように、タイ国内調達の新品、輸入の新品、輸入する中古とあり、さらに輸入中古は5年以下、5年超10年以下、10年超と分かれており、10年超は「移転の場合のみ」と書かれています。つまり、移転の場合、10年超であってもOKということです。ここで引っかかるのが「移転」です。移転とは何ぞや?その定義付け、解釈が問題となります。
 BOIが配布しているマニュアルには、機械についても書かれているのですが、「一般の場合」、「生産拠点を移動させる場合」、「その他の場合」と3つに分けられています。そして「『生産拠点を移動させる』とは、海外から生産ラインの1部又は全部を移動させることをいい、その機械はグループ会社又は関連会社のものでなくてはならない」と定義も書かれています。一見きちんとした定義付けがなされているかのように思えますが、定義付けとしては不十分と言えるでしょう。
 先日、この「移転の場合」として認可申請にトライしました。何せ、10年超の機械がたくさんあるので、「移転の場合」として認められなければ、それらの機械が使えなくなり、事業そのものができなくなります。一見、単純に日本本社から持って来れば「移転」になると思われますが、「『生産拠点を移動させる』とは、海外から生産ラインの1部又は全部を移動させることをいい、その機械はグループ会社又は関連会社のものでなくてはならない」、この定義付けではわかりません。さらなる定義付け、解釈が必要です。
 何をもってして「生産ライン」と呼ぶのか。原材料から完成品までの工程すべてをもって「生産ライン」と呼ぶのか。あるいはカットライン、プレスライン、マシニングライン、塗装ラインなど、作業別に区別した「ライン」もあり、それら作業別のラインであっても、それぞれが「生産ライン」となるのか。何をもってして「生産ラインの1部」と呼ぶのか。原材料から完成品までのラインが3ラインあるとし、その1ラインをそっくり持って来くるのが「1部の移転」なのか。作業別のラインでも、それをそっくり持って来れば「1部の移転」になるのか。「生産ラインの1部」の単位は何なのか、原材料から完成品までのラインなのか、作業別のラインなのか。工場単位なのか。たとえば、A工場とB工場とがあり、A工場はそのまま稼働、B工場を閉鎖して、B工場の機械をそっくり持って来る、この場合、工場単位で見れば「全部の移転」だが、会社全体からすれば「1部の移転」、こういうケースを「1部の移転」と呼ぶのか。ならば「1部の移転」は、いずれかの工場(生産場所)を閉鎖することが前提になることではないのか。だったら、原材料から完成品までのラインをそっくり持ってきたとしても、1ラインでは「1部の移転」にはならないのではないか。1ラインだけタイに持ってきて、2ラインはそのまま、これは生産拠点の「拡大」と呼び、「移転」とは呼ばないのではないか。
・・・などなど、「『生産拠点を移動させる』とは、海外から生産ラインの1部又は全部を移動させることをいう」の1文からこれだけの疑問が出てくるわけです。
 さらに「その機械はグループ会社又は関連会社のものでなくてはならない」についても、何をもってして「グループ会社」「関連会社」と呼ぶのか、という疑問も出てきます。
 たとえば、日本の税務署は資本が50%超である場合、「海外の子会社」としているようですが、50%未満であっても、その海外法人の役員の2分の1以上が日本本社の者であったり、2分の1未満であっても、日本本社の者が代表権を持っていたら「海外の子会社」とされたのではないかと思いますが、何をもってして「グループ会社」「関連会社」の呼ぶのか、その定義付けもここには書かれていません。
 今回のお客さんは、日本本社が100%出資なので、「グループ会社」「関連会社」がどのような定義付けであれ、問題はないと思われ、「生産ラインの1部移転」に集中すればよかったのですが、今回のお客さんは確かにそうであっても、これから入って来るお客さんはそうではないかもしれませんから、「グループ会社」「関連会社」の定義付けも十分、研究しておかないといけないところです。こういうのに、結構、引っかかってしまうんですよね。
 さて、今回のお客さんの会社は、生産能力を持たない本社、A工場、B工場とで構成されており、うちA工場の生産設備の1部をタイに持って来ようというものでした。つまり、A工場は多少、生産を縮小するというだけで、そのままです。お客さんは「生産ラインの1部移転なのだから大丈夫」と思っていたのですが、上述したとおり、そう単純なものではなく、いろんな疑問が出てきますので、明確な定義付けがわからない限り、楽観視は禁物です。
 何度かBOIに問い合わせたのですが、「部分的にでも日本本社で使っている機械を持って来れば1部の移転になる」という回答もあれば、「閉鎖が前提。A工場とB工場とがあり、A工場を閉鎖して、A工場の設備をそっくり持って来る場合が1部の移転」という回答もあり、バラバラでした。相談を受け付けているのはただの相談職員で、彼らは専門の担当官ではありませんから、複雑なことになると、彼らではわからないんですよね。こうなると、もはやどうにかしてインタビューにまでこぎつけ、専門の担当官と接触するしかありません。各機械のシリアル番号等が詳細に記載された海事検定の資料を揃え、「これはサンプルではない。まさに現物。これを持って来る」ということをアピールし、さらに「日本は高齢化社会で労働力が不足しておいる。A工場とB工場とがあるが、A工場の地域は過疎化が激しく、労働力不足から生産設備に見合った生産ができていないので、これらをタイに持ってきたい。原材料はすべてタイで調達できるので、原材料を輸入し、タイで生産し、それを日本に輸出するなんてことをする必要もない。日本国内で生産するのと、タイで生産し、それを日本に輸出するのとを比較した場合、人件費が全然違うので、タイで生産するほうが利益がある。タイ国内での販売も考えると、A工場の設備をタイに持ってくるのがベストな選択」という説明文と、「生産ラインの移転ということで、この申請が認められれば、これらの機械が投資枠に含まれなくても、関税免除にならなくても、これまで死んでいた機械が活かせることのメリットのほうが断然大きい。当社でしかできない製品もあり、当社にはオンリーワンの技術がある。日本本社100%により、技術の漏えいが防げる。また、高度な技術なので、日本人技術者による指導も必要。外資100%、外国人の就労、この2点だけでも十分メリットはある。関税免除だの、法人税免除など、そんなことはどうでもいい。税制面での恩典だけがBOIの恩典ではない。」と、税制面での恩典はどうでもいいこと、なぜどうでもいいのかということ、これを詳細に書き連ねた説明文を作成しました。
 インタビュー時、何をもってして生産ラインの移転と呼ぶのか、上述した私の疑問をすべてぶつけ、その定義付けを聞いてみたのですが、これは専門の担当官もわからないみたいです。ん~どうだろう、審査会議にかけてみないとわからない、とりあえず申請は受理するが、認められるか、認められないかは自分ではわからない、もし認められなかったら、再検討し、認められなかった部分を是正して再度提出すればいい、と言われました。「個人的な見解として」ということで最後に言われたのは、この事業はB1になり、法人税免除の恩典がないので、たぶん、大丈夫じゃないかと思う、でした。
 結局、無事、認可されたのですが、定義付けはわからずじまいでした。今回のケースの事業の恩典はB1で、最初から法人税免除の恩典がありませんから、担当官が言ったように「法人税免除の恩典がないので、たぶん、大丈夫じゃないかと思う」だったのかもしれません。もし法人税免除の恩典がある事業だったら、また違った結果になっていたかもしれません。明確な定義付けはなく、いろんな要因を検討し、総合的に判断するのかもしれません。


海外研修承認申請

 従業員を日本本社に研修に行かせる場合、海外タイ人労働者管理事務局(労働省)に申請して、承認をもらわないといけません。申請には、45日未満の海外研修と45日以上の海外研修とがあるのですが、ほとんどが45日以上になるのではないかと思いますので、ここでは45日以上の申請について、ご説明いたします。
 ここで素朴な疑問なのですが、海外研修なんて、企業と労働者が合意し、日本の入管が滞在許可を出せば、タイがどうのこうのいうことではないのではないか、海外で働いているタイ人はたくさんおり、タイ人が自由に海外に渡航できないなんてことはなく、どこに行くかなんてことは、国民の自由、基本的人権じゃないのか、相手国が入国、滞在を許可すれば、タイは関係ないのではないか、なぜ、このような申請をし、承認を受けなければならないのか、と思ってしまうところで、実際、ほとんどの方がこの申請のことを知っていても、あくまで任意の届け出で強制ではないと思っているのではないかと思います。ところがこれは強制で、申請しなかった場合、3年以上10年以下の禁錮、もしくは罰金6万バーツ以上10万バーツ以下、もしくはその併科、と罰則が定められています。とはいっても、国民には渡航の自由がありますから、厳密な適用は難しいのではないかと思います。親告罪ではありませんが、たぶん、人身売買とか人権侵害とか、そういう問題が起こったときにのみ、適用されるのではないかと思います。
 なぜ、こんな申請をしないといけないのかというと、タイは労働力を「タイ国内の労働力」と「外国の労働力」と区分けしており、これは国籍は関係ありません。たとえば、私は日本人ですが、「タイ国内の労働力」であり、タイ政府は私の労働に関与する権限を持っています。実際、労働許可証がないと働けないのですから、管理下にあるわけです。ところが日本勤務ということで日本の企業が募集し、それにタイ人が応募し、日本で就職したとします。これはタイ人であっても「外国の労働力」とされ、日本が労働を許可するか、しないかの問題のみとなり、タイは関係ありません。従ってこのような場合(外国の労働力とされる場合)、企業はこんな申請をする必要など、ありません。
 ところが研修の場合、研修地は日本であったとしても、何のための研修かといえば、タイ法人のための研修ですから、「タイ国内の労働力」とされ、タイ国内の労働力なのだからタイ政府がどこの国にどれだけのタイ人が行っているのかを管理するのは当然、というのがタイのスタンスのようです。たぶん、これには、人身売買、人権侵害(安い賃金でこき使うなど)を防止する自国民保護策という意味合いもあるのではないかと思います。
 ということで、研修の場合、承認を受けなければいけないということになっています。
 必要書類は以下のとおりです。

1. 様式ng44
 インターネットからダウンロードすることもできますが、実際に提出するのは、印章があるものでないとダメなので、各役所で印章の入ったフォームを買わないといけません(1部10バーツ)。

2. 会社登記謄本(6カ月以内)

3. 株主名簿(6ヵ月以内)

4. 工場操業許可書
 なければ、なぜないのかの説明文を提出します。たとえば、工場操業許可が必要ない事業であれば、「当社の事業内容は・・・・なので、工場操業許可は必要ない」、必要ではあるが、先に研修をし、それから事業を開始する計画であれば、「研修が修了し、従業員がタイに帰国してから事業を開始する計画なので、まだ申請していない」という内容で作成します。

5. 招聘状、もしくは研修受け入れ合意書
 研修を行う日本本社が作成者となります。本部の案内では、「合意書」であってもいいとされていますが、実際に提出する役所では、タイトルを「招聘状」に書き直せ、と言われることが多いです。日本語で作成したものをタイ語に翻訳すればOKです。

6. 研修スケジュール表、カリキュラム
これも日本語で作成したものをタイ語に翻訳すればOKです。

7. 会社の被雇用者であることの証拠となるもの
 基本的には、研修に行かせる従業員の源泉税納付様式と領収書、社会保険納付様式と領収書、それぞれ6ヵ月分が必要ですが、入社したばかりであれば、当然6ヵ月分はありません。日本本社に研修に行くことを前提として採用し、採用直後、すぐに日本に行かせ、帰国後、会社の核にしようということも、会社としてはごく普通の計画といえ、このような場合、とりあえず、先に社会保険に登録し、その月の納付様式、領収書を提出し、さらになぜ6ヵ月分がないのかの説明文と従業員であるという証明書を作成して提出します。

8. IDカードコピー

9. パスポートコピー(日本の研修ビザ)
 この手続きは、先に在タイ日本大使館から研修ビザを受けておく必要があります。先にビザを申請し、写真のページ、ビザのページを提出します。

10. 研修契約書 ※少なくとも以下の条件が記されていること
 10.1 研修期間、研修日時、休日
 10.2 福利厚生、食事、住居
 10.3 飛行機代
 10.4 医療費
 10.5 手当
 10.6 タイでの賃金の支払い
 以上の内容が入っていれば、形式は自由なのですが、指定のフォーマットを渡され、それをそのまま使わせようとしてきます。たぶん、形式が自由だと、以上の内容がきちんと入っているかどうかを確認するのが面倒臭いので、確実に入っている指定のフォーマットを使わせようとしてくるのではないかと思います。

11. 研修者名簿
 指定のフォーマットがありますので、それをそのまま使います。

12. 会社代表者のパスポートコピーと労働許可証

13. 委任状(手続きを他の者に委任する場合)

14. オリエンテーション参加申し込み書
 役所は、海外に研修に行く者を対象としたオリエンテーションを実施しているのですが、その参加申し込み書です。ただし、強制ではなく任意で、行かせなくてもかまいません。参加したという人を知りませんので、どのような内容なのかは不明ですが、任意であるところをみると、大した内容ではないのでしょう。
 参加させない場合、「1度日本に研修に行ったことがあり、日本のことはよくわかっているので必要性が認められない」とか、「日系企業である当社で・・・年間、勤務しており、日本の文化、習慣などについては、よく理解しているので必要性が認められない」とか、数人いて、そのうちの1人が日本渡航経験があれば、「○○は日本に行ったことがあり、日本のことはよく知っている。日本滞在中は、○○がいつでもアドバイスできるので、必要性が認められない」とか、そういう説明文を提出すれば、参加させなくてもかまいません。

 ここで最大の障害になるのが会社代表者の労働許可証です。役所が配布している必要書類リストには、「委任状(申請者が外国人で、手続きを他の者に委任する場合は労働許可証のコピー)」と書かれてあり、文面からは、他の者に委任せず、自分で申請する場合には必要ないと受け止められるのですが、委任状とは無関係に要求されます。
 すでに労働許可証を持っている場合は問題ないのですが、会社を設立したばかりで、先に採用したばかりの従業員を日本本社に研修に行かせ、戻ってきてから操業を開始するというケースの場合、その間は何もしないので、ほとんどの会社がその段階では労働許可証は申請しないのではないかと思います。これが最大の障害になるのですが、このような場合、労働許可証を申請するか、あるいはタイ人に一時的に署名権を持たせ、そのタイ人を申請者とするしか方法はありません。場合によっては、研修に行かせる従業員に署名権を持たせ、自分で自分を日本に送り込ませることも一手です。どのみち、ずっと日本にいて、署名権の悪用など、できない環境におかれるわけですから、日本から帰ってきたとき、署名権を外せばいいでしょう。

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