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タイ最高裁判例(刑事)
翻訳・解説 斎藤裕史

1. タイの刑法の構成

 タイの刑法は3編で構成されており、第1編は総則に関することで、これは刑法以外の他の法律、勅令にも適用される。第2編は犯罪一般の規定についてであり、第3編は軽犯罪についてである。日本の法律では、刑法と軽犯罪法を分けているが、タイの法律では、刑法の中に軽犯罪は規定されており、第2編の犯罪と第3編の軽犯罪との相違点は、
①第2編の犯罪は、過失でも処罰すると明記されている場合を除き、原則的に意図しない行為は罰しないが、軽犯罪は過失でも処罰の対象となる。
②第2編の犯罪は、未遂も処罰するが、軽犯罪の未遂は処罰しない。
③第2編の犯罪は、支援者も処罰するが、軽犯罪では処罰しない。
④軽犯罪は、禁錮1ヶ月以下又は罰金千バーツ以下、もしくはその併科であるが、第2編の犯罪はそれ以上の刑罰を科す。

 ということで、明確にその相違点が規定されている。

第59条
 過失ではなく、意図的に犯罪を行ったときは、刑事責任を負わなければならない。ただし、法律が過失による行為に刑事責任を規定している場合、又は意図的に行われた行為でなくても刑事責任を明確に規定している場合を除く。
  意図的行為とは、その行為を認識して行った行為であり、同時にその行為の結果を期待した、又は予見した行為である。
 行為者が犯罪構成要素となる事実関係に無知であった場合、その行為の結果を期待し、その結果を意図した行為とはされない。
 過失行為とは、意図的ではないが、その状況にある者が持つべき注意を欠いた行為であり、可能であったにもかかわらず、然るべき注意を払わなかった行為である。
 行為とは、その結果の発生防止のために行わなければならないことを行わなかったことにより、その結果を生じさせたことも含む。

第102条
 軽犯罪とは、禁錮1ヶ月未満又は罰金1千バーツ未満、もしくはその併科に処することが定められた犯罪である。

第104条
 本法に規定された軽犯罪行為は、他に規定されている場合を除き、意図的でなくても犯罪とする。

第105条
 軽犯罪行為の未遂は、刑を受けなくてもよい。

第106条
 軽犯罪行為の幇助は、刑を受けなくてもよい。


2. 故意

 犯罪は、原則的に意図が構成要素となるが、3つの例外が第59条及び第104条に規定されている。

①過失であっても、刑法で刑事責任が規定されている場合。これについては、第2編の犯罪の規定の中に明確にされている。
②意図的でなくても、他の法律、条令などで刑事責任が規定されている場合。
③軽犯罪。心理面がどうであれ、刑法第3編に規定された行為は行った時点で犯罪となる。


3. 意図的行為

 意図的行為については、まさにその行為を行うことだけでなく、その結果を防止するために行わなければならなかったことを行わなかったことにより、その結果を生じさせたことも含み、第59条に規定されている。つまり、意図したとおりに身体を動かすこと、もしくは動かさないこと、が意図的行為であるが、その意図的行為は、

①やろう(やるまい)とする思考
②思考したとおりにやろう(やるまい)という決心
③実際の着手(放棄)

 以上の3条件を満たしてなければならない。そして、意図的行為には、結果を積極的に意図した行為と、積極的ではないが、自らの行為の結果を予見し、予見していたにも関わらず、その結果には無関心に行った行為、すなわち、未必の故意とがあり、意図的行為は以上の3条件を満たしていなければならないとはいっても、行為を行うこととなったその意図については、状況によって機械的に判断される。例えば、殺人や傷害などは、凶器の威力、傷害を受けた器官、受けた傷害の様態など、外的な事項から機械的に判断される。未必の故意についても、やはり状況によって機械的に判断される。

判例1
 被告人は、わずか3メートルの距離から被害者に発砲し、身体の重要器官である腰部に命中し、すぐに治療しなければ生命に危険が及んでいた。被告人は被害者を殺害する意図をもって行ったものとし、威嚇のためであれば、空など、被害者のいない方向に向けて発砲することも可能であった。(最高裁1991年5664号)

判例2
 2メートルの距離から発砲し、くるぶし上部に命中して骨が砕けた。殺害するつもりであれば、重要部分に命中させることも可能であり、被告人に殺害の意図はなかったものとし、殺人未遂ではなく、傷害の罪となる。(最高裁1958年1006号)

判例3
 被告人が、柄を含めた長さが約50センチの先の鋭利な刃物を取り出し、”お前、死ね”と言ったことは、その言葉からは本気であるとすることはできず、他の状況を考慮しなければならない。被告人がSとTを刺したとしても、2人とも倒れたとき、さらに重ねて刺さず、2人の傷の様態も重傷ではないことから、可能であったにもかかわらず、2人に重傷を負わせる、もしくは死亡させようとはしなかったものである。その後被告人はCを追いかけたが、それらの状況だけで被告人に殺害の意図があったとすることはできず、SとTに対する傷害及びCに対する傷害未遂の罪となる。(最高裁1987年2155号)

判例4
 被告人は規定以上の高さのラテライト土を積載した車を運転しており、”止まれ”の記号のある鉄板を道路中央に施した検問地点に到達したとき、警察官は呼子笛を吹き、停止の合図をした。被告人は逮捕されるのを恐れ、止まらずにさらにエンジンをふかし、交通記号を避けてその左側に立っていた2、3人の警察官に突進した。警察官は跳躍し、避けることができた。被告人は、被告人が運転し、道路に立っていた警察官に突進していった車は、警察官に当たり、死亡させることができるという行為の結果を予見しており、刑法第289条、第80条に基づき、職務執行中の係官を殺害しようとした罪となる。(最高裁1983年1270号)

判例5
 第2被告人は威力のある武器であるけん銃を、弾丸が誰に当たるかは無関心に約10名の被害者群に発砲した。1発の発砲であっても他の者を死亡させることができるもので、その行為の結果を予見した行為であり、殺害の意図を持った行為である。(最高裁1992年3431号)


4. 行為と結果の因果関係(第63条)

 犯罪のタイプは様々な観点から分類できるが、行為と結果の因果関係という観点から見れば、因果関係が問題となる犯罪と問題にならない犯罪とに分けることができる。因果関係が問題にならない犯罪とは、偽証など、行為そのものが犯罪で、結果は必要としない犯罪である。一方、因果関係が問題になる犯罪とは、殺人や傷害など、結果を必要とする犯罪であり、その行為によってどのような結果が導き出されたのか、その行為と結果の関連性が問題となってくる。

第63条
 犯罪行為の結果により、行為者に科される刑が重くなるときは、その犯罪行為の結果は通常に起こりうる結果でなくてはならない。

 通常に起こりうる結果、とはいっても、その行為がなかったらその結果が生じていたか否かで判断し、因果関係の関連付けは、かなり広範囲にわたっている。

判例1
 他の者に重傷を負わせることとなった傷害罪であり、行為者はその行為から生じた結果のために、より重い刑を受けなくてはならず、その行為は意図されたものである必要はない。第1被告人のみがナイフを使用して被害者の顔を切り込み、第2被告人及び第3被告人は、被害者を暴行する意図を持っていただけで、重傷を負わせる意図はなかった。しかしながら、第1被告人の行為から生じた結果に責任を負わなければならない。よって被告人は3名とも、他の者に重傷を負わせることとなった傷害の罪となる。(最高裁・大法廷1986年313号)

 なお、タイでは傷害の度合いにより、適用する条文が異なる。

第295条
 他の者に暴行を加え、その者の身体、心神に傷害をもたらすこととなったとき、暴行の罪となり、2年未満の禁錮又は4千バーツ未満の罰金、もしくはその併科に処する。

第297条
 暴行により、暴行を受けた者が重傷を負った場合、6ヶ月以上10年以下の禁錮に処する。
 重傷とは以下をいう。
(1)視覚、聴覚、嗅覚、味覚の損失。
(2)生殖器又は生殖能力の損失。
(3)腕、脚、手、足、指、他の器官の損失。
(4)顔の美容の損失。
(5)流産。
(6)慢性的な心神障害。
(7)生涯にわたりうる慢性の身体障害。
(8)20日以上の心身的苦痛、もしくは20日以上の通常業務実施不能。

 1986年313号は、3名とも第297条の適用となっている。

判例2
 被害者はけん銃で撃たれ、9ヶ月後に死亡した。撃たれた傷から継続して生じた死であるとき、治療が良くなかったために病原菌に感染することとなったとしても、被告人の行為から継続して生じた通常の結果であり、被告人は殺害の意図を持って被害者を撃っていることから、被告人は殺害の意図を持って他の者を殺害した罪となる。(最高裁1985年1478号)

判例3
 被告人は被害者に対して暴行の意図を持っていた。被告人に暴行を受ける前は、被害者の身体は正常であり、直ちに死に至る異常な兆候は見受けられなかったが、暴行を受けた17時間後に死亡した。医師が肝硬変による死であり、被告人の暴行による死ではないとしても、その死亡は暴行を受けたことの直接的な結果であり、よって被告人は、第290条第1段落に基づいて、殺害の意図はなかったが、他の者を死に至らしめた罪となる。(最高裁1989年657号)

第290条
 殺意はなかったが、人に暴行を加えて死に至らしめた者は、3年以上15年以下の禁錮に処する。
第289条の何れかに該当するときは、3年以上20年以下の禁錮に処する。

第289条 以下の者は、死刑に処する。
(1)両親、祖父母、曾祖父母を殺害した者。
(2)職務執行中にある係官を殺害した者、又は職務を執行する、執行したという理由により、殺害した者。
(3)係官の職務執行を補助している者を殺害した者、又は補助する、補助したという理由により、殺害した者。
(4)事前に十分な思慮を重ねて人を殺害した者。
(5)虐待、拷問により、人を殺害した者。
(6)他の犯罪を行うにあたっての準備又は便宜のために人を殺害した者。
(7)自己が行った他の犯罪による利益を得るため、又は保持するため、もしくは刑事責任の回避、隠匿のために人を殺害した者。

判例4
 被害者は暴行を受けた後、病院に運ばれて治療を受けた。気管から息が漏れていたため、医師は点滴をし、呼吸を助ける管を入れ、左肺の空洞に息の排出管を入れ、呼吸器につなげた。医師は、その後も病院で治療を受けていれば、死亡よりも生存の可能性の方が高かったとしている。親族は治療を終了させ、呼吸器と呼吸管を取り外して帰宅させたが、被害者がその夜に死亡したことは、その直接的結果であり、被告人の行為の結果ではない。被害者は医師の治療を受けていれば、生存の可能性は高い状態にあり、よって被告人の行為は殺人未遂である。(最高裁1989年659号)

5. 犯罪構成要素

 犯罪構成要素には、外的な要素と内的な要素とがあり、内的要素とは、大まかに言えば、故意か、過失か、ということで、例えば、窃盗の外的要素とは、「持ち去ること」と、その持ち去った物は「他人の財物であること」であり、内的要素は「意図的」ということである。うっかり人の服を自分の服と間違えて持ち去った場合には、過失であり、窃盗の場合、過失の処罰は規定されていないため、内的要素に欠け、窃盗は成立しない。 多くの場合、意図が重要になってくるが、タイの場合、原文どおりに訳せば、「通常意図」と「特別意図」と2つに分けて、条文に規定している。「通常意図」とは、自己の行為の意味を理解し、同時に結果を期待している(積極的行為)、又は予見している(未必の故意)ことで、「特別意図」とは、他に誘引要素のある通常意図で、意図が2段階以上に分かれているものである。つまり、何らかの意図を持ち、その意図を達成するために別の行為を行うこと、1つの行為を意図的に行い、その行為によって自分が本当に得たい結果を導くこと、である。この特別意図を構成要素としている犯罪については、ほとんどの場合、その条文に「~のために」と明記されており、特別意図が規定された犯罪にあって、その意図がなかった場合には、犯罪とならないか、もしくは通常意図の他の犯罪となる。

判例1
 大学生である被告人は酒類に酔い、ノーンルムプック寺院学校に掲げられてあったタイ国旗にけん銃を発射した。酩酊により銃を発射したもので、国家を侮辱する意図はなかったものとし、故に被告人は、”国家を侮辱するために”という特別意図を必要とする犯罪である刑法第118条の罪はない。(最高裁1966年588号)

第118条
 国家を侮蔑するために、国家を象徴する旗又は記号に対して何らかのことを行った者は、2年未満の禁錮又は4千バーツ未満の罰金、もしくはその併科に処する。

 この場合は、その物に損害を与える、という通常意図の器物損壊(第358条)である。

第358条
 他の者の財物又は他の者と共同で所有している財物を破壊した者、あるいはその価値を下落させた者、その財物を無意味なものにさせた者は、器物損壊の罪となり、3年未満の禁錮又は6千バーツ未満の罰金、もしくはその併科に処する。

 なお、意図に対して、「そのつもりはなかった」という弁解はつきものだが、「酒に酔っていたから」という弁解は、特別意図では認められるが、通常意図では原則的に認められない。

第66条
 酒類又は他の物による酩酊は、第65条の弁解の理由とはなりえない。ただし、それが酩酊を生じさせる物であることを知らずに、あるいは意に反して使用したことから、責任能力がなくなったとき、もしくは自己の行為の抑制が不可能となったときに行った場合、その者は、その行為に対する刑を免除される。その者がある程度、責任能力がある、もしくは自己の行為の抑制が可能であったときは、裁判所はその行為に対する法律の規定よりも、軽い刑を言い渡すことができる。

判例2
 被告人は酒類に酔い、誰かに当たることは考えずに群衆に発砲した。自己の行為から生じる結果は予見でき、意に逆らって、もしくは酩酊物質であることを知らずに摂取したわけではないので、被告人は刑の免除、減軽の理由として酩酊を挙げることはできない。(最高裁1971年1818号)

 判例1は、特別意図の国家侮辱罪であり、判例2は通常意図の殺人、もしくは殺人未遂である。判例1では、酒に酔っていたことを弁解として認めているが、判例2では認めておらず、未必の故意として罪を定めている。
 弁解を認めない条文は、さらに第61条と第64条とがある。

第61条
 ある者に対して行うことを意図したが、誤解により別の者に対して行った場合、行為者は、意図的に行ったのではないという弁解として、その誤解を引用することはできない。

第64条
 刑事責任を逃れるために、法律を知らなかったと弁解することはできない。ただし、その行為が犯罪であると法律が規定していることに無知であったことが状況から認められる場合、裁判所は証拠の提示を許可し、行為者が法律の規定に無知であったと裁判所が認めれば、その行為に対する法律の規定よりも、軽い刑を言い渡すことができる。

 弁解を受け付けない毅然とした態度は、刑法以外の他の法律も同様である。

判例3
 1979年麻薬法、第15条第2段落の中で、第1種違法麻薬の実量20グラム以上の製造、輸出、輸入、所持は販売目的の製造、輸出、輸入、所持であるものと見なす、と規定されており、この規定は絶対的な憶測である。被告人が実量236.8グラムのヘロインを所持していたということは、被告人は販売のためにヘロインを所持していたと見なし、これに対して原告は、被告人は販売のためにヘロインを所持していたというその意図を裁判所に示すために証人を出廷させ、尋問する必要はない。(最高裁1993年1350号)

1979年麻薬法第15条
 大臣が書面で特に許可したところに従い、公務上で必要性のある場合又は適切であると認められる場合の所持を除き、何人も第1種麻薬の製造、販売、輸入、輸出、所持をしてはならない。
 実量20グラム以上の第1種麻薬の製造、輸入、輸出、所持は販売目的のそれであるとみなす。

1979年麻薬法第65条
 第1種麻薬の製造、輸入、輸出を行った者は、終身禁錮に処する。
 前段落の行為が販売目的であれば、死刑に処する。

 大きな袋から小さな袋に詰め替える作業も「製造」とされ、その言葉の意味が広いだけに、ほとんどの場合、20グラム以上の所持は、弁解の余地なしに死刑となる。

6. 誤解

 誤解には事実関係の誤解と人物の誤解とがあり、人物の誤解については、第61条に基づき、実際に被害を受けた者に対し、意図的にその行為を行ったものとして処罰する。

第61条
 ある者に対して行うことを意図したが、誤解により別の者に対して行った場合、行為者は、意図的に行ったのではないという弁解として、その誤解を引用することはできない。

第62条
 その行為を犯罪としない、もしくは刑を受けなくてもよい、あるいは減軽される事実関係が実際は存在しないにも関わらず、存在すると誤解していた場合、行為者は無罪、あるいは刑を受けなくてもよい、もしくは減軽される。
 第59条第3段落に定められた事実関係の無知、もしくは前段落の誤解が行為者の過失で生じたものであるとき、過失であってもその責任が規定されている場合には、行為者は過失行為としての責任を負う。
 ある事実関係によって刑を重くする場合、その事実関係についての認識がその者になければならない。

判例1
 刑法第277条及び第279条では、行為者は15歳未満の児童に対してでなくてはならず、被害者の年齢は犯罪構成要素である。被告人は被害者の年齢を誤解しており、真実のところは被告人が思っていたとおりでなくても、被告人に罪はない。被告人が被害者と知り合いではなかったということは、被告人が弁解としてその誤解を引用するのを禁止する事項とはならない。(最高裁1995年5176号)

第277条
 15歳未満の自己の妻でない少女と姦淫した者は、少女の合意の有無に関わらず、4年以上20年以下の禁錮及び8千バーツ以上4万バーツ以下の罰金に処する。
 前段落の行為が13歳未満の少女に対するものであれば、終身禁錮もしくは7年以上20年以下の禁錮及び1万4千バーツ以上4万バーツ以下の罰金に処する。
 前第2段落の行為が集団による輪姦で、その少女の意に反したものであれば、あるいは武器、けん銃、爆発物の所持又は行使によるものであれば、終身禁錮に処する。
 第1段落の行為が13歳以上15歳未満の少女に対するもので、その少女が合意しており、さらに後日、裁判所が婚姻を許可すれば、刑を受けなくてもよい。その罪によって刑を受けている期間に裁判所が婚姻を許可すれば、裁判所はその者を釈放する。

第279条
 15歳未満の少女にわいせつな行為をした者は、その少女の合意の有無に関わらず、10年未満の禁錮又は2万バーツ未満の罰金、もしくはその併科に処する。
 何らかの方法による脅迫又は暴力の行使により、あるいは抗拒不能の状態にして、もしくは自己が他の者であると誤解させて前段落の行為を行ったのであれば、15年未満の禁錮又は3万バーツ未満の罰金、もしくはその併科に処する。

判例2
 被害者は、無頼者を装う傾向があり、けん銃を所持し、被告人を撃つ仕草をしたことがある。事件の夜、被害者は、被告人が被害者を虐待しようとしていたと誤解し、4メートル離れたところで中腰の姿勢で被告人に因縁をつけ、ズボンのポケットに手を入れた。被害者は、何かを取り出そうとする素振りをし、被告人を殺害するようなことを言った。事件現場は薄明るく、さらに被告人は17歳であり、未だ十分な思考ができない年齢である。そのような状況では、被害者が被告人を殺害しようとしてけん銃を取り出そうとした、すなわち目前に危機が迫っていると被告人が誤解するのもやむを得ず、自己防衛のための権利を行使することができる。被告人は自己防衛のために直ちにけん銃で被害者を1回撃ったが、それは刑法第62条第1段落が付随する第68条であり、理由に適した自己防衛である。よって被告人は無罪である。(最高裁・大法廷1971年266号)

第68条
 法律違反となる加害行為から生じた危険が目前に迫り、自己もしくは他人の権利をその危険から防衛するために行った行為は、その理由に適したものであれば、正当防衛であり、行為者は、無罪である。

判例3
 原告2名は夜、原告と友人であることを言わず、また通過したいことも言わず、被告人の庭を歩いて通り、被告人の家に向かい、被告人に、原告2名が泥棒であると誤解させることとなった。原告が被告人宅の塀の前ドアから離れて歩いているときに、被告人は原告に発砲したが、適切さを超えた誤解による財産防衛であり、被告人は約35メートルの距離から発砲し、弾丸は原告1の両足後側に命中した。被告人は、原告の身体に傷害を与るよう、足に命中させるために下方を狙って発砲した者であり、殺害の意図はなかった。故に刑法第295条に基づいて、被告人は傷害罪であり、第62条、第69条が適用される。(最高裁1992年2716号)

第295条
 他の者に暴行を加え、その者の身体、心神に傷害をもたらすこととなったとき、暴行の罪となり、2年未満の禁錮又は4千バーツ未満の罰金、もしくはその併科に処する。

第62条
 その行為を犯罪としない、もしくは刑を受けなくてもよい、あるいは減軽される事実関係が実際は存在しないにも関わらず、存在すると誤解していた場合、行為者は無罪、あるいは刑を受けなくてもよい、もしくは減軽される。
 第59条第3段落に定められた事実関係の無知、もしくは前段落の誤解が行為者の過失で生じたものであるとき、過失であってもその責任が規定されている場合には、行為者は過失行為としての責任を負う。
 ある事実関係によって刑を重くする場合、その事実関係についての認識がその者になければならない。

第69条
 第67条及び第68条の場合にあって、行為者が理由に適した以上の行為、もしくは必要性を超えた行為、あるいは防衛行為を過剰に行ったのであれば、裁判所は、その行為に対する法律の規定よりも、軽い刑を言い渡すことができる。その行為が興奮、驚愕、恐怖から生じたものであれば、裁判所はその者を処罰しなくてもよい。

 判例1、判例2は無罪の事例であり、判例3は刑が減軽される事例である。ただし、無罪となる事例であっても、その誤解が過失によるもので、過失でも処罰すると規定されている場合にあっては、その者は無罪とはならず、過失犯として処罰される。例えば、AがBをおもちゃのけん銃で脅したとする。Bはそれが本物のけん銃であると誤解し、自己の生命を守るために、とっさにAをナイフで刺して逃亡したが、Aは失血死してしまった。このような場合、Bは第68条の正当防衛を行使したわけであり、仮に正当防衛が認められれば、Bは無罪となるが、よく注意して観察すれば、おもちゃのけん銃であることがすぐにわかるような場合、Bは過失から誤解したものとし、第291条の過失致死が適用される。なお、刑を受けなくてもよい、とされる誤解とは、Aにおもちゃのけん銃を突きつけられ、Cを殺せと命じられ、Bは仕方なくそれに従ったようなケースであり、第67条の状況下に置かれているものと誤解したような場合である。この場合もやはり、過失からその誤解が生じたのであれば、過失犯として処罰される。

第291条
 過失により人を死に至らしめた者は、10年未満の禁錮及び2万バーツ未満の罰金に処する。

第67条
 以下の必要性をもって犯罪を行い、その行為が適切性を超えた過剰行為でなければ、その者は刑を受けなくてもよい。
(1)回避、抵抗が不可能な強制下にあるとき。
(2)目前に迫った危険から自己又は他の者を逃れさせるためで、その危険が自己の犯罪行為によって生じたものではなく、他の方法での回避が不可能であったとき。

判例4
 被告人は仲間にPを呼びに行かせ、被告人は隠れていた。偶然、被害者が階下で小便をするために家のドアを開けて階段を降りて来た。被告人はPであると誤解してけん銃で撃ったとしても、被告人の行為は事前に十分な熟考をした上で人を殺害したものである。(最高裁1988年90号)

 判例4は人物を誤解した場合についてだが、第61条に従い、誤解せずに犯行を行った場合と全く同等に処罰される。なお、自分が意図したところとは違う者に結果が生じるケースは、人物を誤解した場合と、単に行為に失敗した場合とがあるが、行為に失敗した結果、自分の意図とは違う者に結果が生じた場合にあっても、失敗しなかった場合と全く同等に処罰される。

第60条
 ある者に対して意図的に何らかのことを行ったが、その行為の結果が別の者に生じた場合、意図的に被害を受けた者に対してその行為を行ったものとする。ただし、その者の立場、あるいは行為者と被害を受けた者との関係によって刑を重くすることが規定されている場合、刑を重くするためにその法律を適用してはならない。

第61条
 ある者に対して行うことを意図したが、誤解により別の者に対して行った場合、行為者は、意図的に行ったのではないという弁解として、その誤解を引用することはできない。

 また、事実関係については、それを誤解していた場合の他に、それを知らなかった場合もあるが、これについては第59条に規定されている。

第59条
 過失ではなく、意図的に犯罪を行ったときは、刑事責任を負わなければならない。ただし、法律が過失による行為に刑事責任を規定している場合、又は意図的に行われた行為でなくても刑事責任を明確に規定している場合を除く。
 意図的行為とは、その行為を認識して行った行為であり、同時にその行為の結果を期待した、又は予見した行為である。
 行為者が犯罪構成要素となる事実関係に無知であった場合、その行為の結果を期待し、その結果を意図した行為とはされない。
 過失行為とは、意図的ではないが、その状況にある者が持つべき注意を欠いた行為であり、可能であったにもかかわらず、然るべき注意を払わなかった行為である。
 行為とは、その結果の発生防止のために行わなければならないことを行わなかったことにより、その結果を生じさせたことも含む。

 例えば、窃盗で得た物と知らずにその財物を受け取ったような場合には、この条文が適用され、その者は無罪となる。

7. 必要性からの犯罪

 正当防衛(第68条)は「行為者は無罪」であるが、必要性からの犯罪(第67条)は、「刑を受けなくてもよい」とされており、その行為は犯罪ではあるが、やむを得ない理由があったため、刑は免除する、というものである。

第67条
 以下の必要性をもって犯罪を行い、その行為が適切性を超えた過剰行為でなければ、その者は刑を受けなくてもよい。
(1)回避、抵抗が不可能な強制下にあるとき。
(2)目前に迫った危険から自己又は他の者を逃れさせるためで、その危険が自己の犯罪行為によって生じたものではなく、他の方法での回避が不可能であったとき。

第68条
 法律違反となる加害行為から生じた危険が目前に迫り、自己もしくは他人の権利をその危険から防衛するために行った行為は、その理由に適したものであれば、正当防衛であり、行為者は無罪である。

判例1
 被告人は、複数の、しかも武器を手にした犯人に脅され、集団強盗を行うために岸を渡るのに舟を出して送り迎えしたが、必要性からの行為で、回避もしくは反抗は不可能であり、よって被告人は刑を受ける必要はない。(最高裁1971年1750号)

判例2
 被告人は舟を運転し、乗客を乗せて現場に行ったが、それが人を殺害しようとしている者であることを知らなかった。事件後、被告人は、犯人の強制力下にあったため、必要性から舟を運転して犯人を送っていかなければならなかった。被告人は刑法第67条(1)に基づき、回避もしくは反抗が不可能な状態であり、送った後、直ちに村長に知らせた。よって被告人は刑を受ける必要はない。(最高裁1982年2348号)

判例3
 けんかの相手となった者は、必要性、正当防衛を主張することはできない。(最高裁1972年1156号)

判例4
 雨が降ったときに稲が冠水しないためだけに、被告人は被告人の田圃から公共の運河にまで排水路を掘った。未だ雨が降っていないときは、稲も冠水しておらず、被告人がしなければならない必要性の迫った危険はそこにはない。雨が降り、稲が冠水しても、被告人は吸水機を使って水を排出することもでき、よって被告人の行為は法律に従った必要性のある行為とはいえない。」(最高裁1986年734号)

判例5
 被告人は、結婚式の手伝いに行き、複数の者に追いかけられて乱暴された。被告人は走って新郎新婦のいる部屋に入ろうとしたが、被害者は被告人が中に入らないように遮ったため、被告人は被害者をナイフで1度刺し、ナイフは左胸乳房上部に命中して、被害者は死亡した。被告人は非常な危険の状況下にあり、他の方法での回避はできない突然のことでもあった。ゆえに被告人は被害者が遮った方向へ行かざるを得なかったが、被告人の行為は適切さをはるかに超えており、被害者は単に被告人を遮っただけで、被告人は実力を行使して無理に入ることもでき、ナイフを使用して殺害に至るべきではなかった。ゆえに被告人の行為は、適切さを超えた行為である。(最高裁1946年307号)

8. 正当防衛と過剰防衛と「激情にかられて」行った行為

 正当防衛は第68条に、過剰防衛は第69条に規定されている。正当防衛についても、よほどのことでないと認められない日本とは違い、比較的容易に認められているように見受けられ、しかも、生命だけでなく、名誉や財産のための防衛も認められている。また、正当防衛か過剰防衛かについては、審理の過程において、十分論議のあるところであろうが、タイではもう1つ、「激情にかられて」というのがあり、過剰防衛と同様に正当防衛との争点になるようである。なお、「激情にかられて」は、第72条に規定されている。

第68条
 法律違反となる加害行為から生じた危険が目前に迫り、自己もしくは他人の権利をその危険から防衛するために行った行為は、その理由に適したものであれば、正当防衛であり、行為者は無罪である。

第69条
 第67条及び第68条の場合にあって、行為者が理由に適した以上の行為、もしくは必要性を超えた行為、あるいは防衛行為を過剰に行ったのであれば、裁判所は、その行為に対する法律の規定よりも、軽い刑を言い渡すことができる。その行為が興奮、驚愕、恐怖から生じたものであれば、裁判所はその者を処罰しなくてもよい。

第72条
 不当で非常な虐待を受けたことから発した激情により、虐待者に対して犯罪行為を行った場合、裁判所は、その行為に対する法律の規定よりも、軽い刑を言い渡してもよい。

判例1
 被害者は1度、被告人の妻であるLを強姦したことがあるが、そのときは被告人は告訴しなかった。被告人に罵られたが、被害者は、さらに被告人とその妻に侮蔑の言葉を吐いた。事件の日、被害者は、被告人の父母であるCとTにLを妻としてもらいたいと言った。被害者がLの腕を掴んで引き寄せたことは、暴力を行使しようという意図はなかったとしても、Lに猥褻を行おうとする意図はあり、被害者が法と道徳に逆らった行いをしようとするとき、被告人は、自己の妻であるLの名誉と自由を守るための防衛を行う法律上の権利を正当に持つ。事件が起きたとき、被告人は、武器を所持しておらず、素手で被害者に立ち向かってLを助けようとすれば、被害者に銃で撃たれていたかもしれない。そのような状況では、被害者から銃を奪い、発射する以外に選択の道はなく、銃で殴るだけであれば、弾が発射し、他の者に当たるか、あるいは被害者に奪われ、撃たれるかもしれない。被告人が銃を奪い、どこに当たるか考えずにすぐに発射し、銃を捨てて逃げたことは、理由に適した行為であり、刑法第68条に基づいた正当防衛とし、激情にかられて人を殺害した罪とはならない。(最高裁1997年808号)
(注:強姦されたのは被告人の妻であるLであるが、妻であれば、夫も被害者となり、「告発」ではなく「告訴」となる)

 この事件では検察側は、激情にかられて人を殺害したとしており、これは第72条が付随する第288条の罪ということで、殺人の1タイプである。一方、被告側は、正当防衛を主張しており、裁判所は被告側の主張を認めた形になっている。また、この判例は、生命の危険でなくても正当防衛が成立することを示した判例である。

第288条
 人を殺害した者は、死刑又は終身禁錮、もしくは15年以上20年以下の禁錮に処する。

判例2
 被告人は、被告人の庭にある倉庫に物を保管しておいた。事件が起こった町は、悪人が集まっており、被害者とその仲間は夜間に窃盗の意図を持って侵入し、被告人が倉庫に張り、電流を流しておいた針金に触れて死亡した。被告人は財産を守るために被害者とその仲間に暴力を加える権利を有しており、被告人の行為は理由に適した防衛で、無罪である。(最高裁1976年1923号)

判例3
 第2被告人の父である第1被告人は、自らの意思で被害者と殴り合いのけんかをした。第2被告人は、被害者が第1被告人に暴力を振るわないよう制止したが、被害者は第2被告人を殴って蹴り、第2被告人はよろめいた。被害者がさらに第1被告人に暴力を行使しようとしても、それは制止する前から始まっていたけんかから継続しているものであり、第2被告人には、第1被告人を守るために、椅子で被害者を叩く権利はない。また、第2被告人に生じた、法律に違反した暴力の行使による危険、すなわち被害者に殴られて蹴られ、よろめいたことはすでに経過しているため、自己の権利の防衛のための行為であると主張することもできず、第2被告人は、不当な理由による虐待のため、激情にかられて行ったものである。(最高裁1994年5698号)

 第1被告人は、自らの意思でけんかの相手となっており、被害者が第2被告人を殴ったことで、時間的中断があったとしても、第1被告人が自らの意思で始めたけんかは継続しているため、第1被告人には正当防衛の権利はない。従って、第2被告人にも第1被告人を守るための正当防衛は成り立たない。

判例4
 被害者は被告人を2回殴り、その後は被告人に暴力は振るわなかった。法律に反した暴力の行使から生じた危険は過ぎ去っており、被告人が防衛をしなくてはならない危険はなかった。従って、被告人が殴られた後、被害者を刺したことは、自己の権利の防衛ではない。しかし被告人は、自らの意志で被害者とけんかはしておらず、被害者がトランプ遊びをしているときに被告人に殴りかかったのは、不平等な理由による非常な虐待であり、被告人が殴られた後、被害者を刺したことは、激情にかられた行為であり、虐待者に対する犯罪行為である。(最高裁1990年1011号)

判例5
 被告人はオートバイから降り、酒に酔った被害者と理解し直そうとして話をしたが、うまくいかず、被害者はナイフで被告人を斬りつけようとしたが、当たらなかった。被告人が携帯していたけん銃で脅すか、あるいは威嚇射撃をすれば、被害者は敢えてさらに被告人を斬りつけようとはしなかったと思われ、被告人が被害者の首上部に銃を発射し、事件現場で死なせたことは、1回の発射とはいえ、適切性を超えた行為であり、防衛のための必要性を超えた行為である。よって、正当防衛ではない。(最高裁1997年223号)

判例6
 被害者は、被告人を一方的に殴り、また、蹴り、先に事件を起こしたが、それは法律に反した暴力の行使から生じた危険であり、身に迫った危険である。従って被告人は、自己を防衛する権利を有するが、事件時には被害者は武器を所持せずに被告人を殴って蹴っていただけで、被告人がナイフを使って重要な器官である腹部を刺したことは、1度だけとはいえ、腹部の腸と大動脈が断裂し、被害者を死に至らしめることとなり、被害者に対し殺害の意図を持っていたもので、適切性を超えた行為である。よって被告人の行為は、第69条が付随する第288条に基づき、適切性を超えた防衛の意図を持ち、人を殺害した罪となる。(最高裁1998年3441号)

 正当防衛が正当防衛として成立するためには、何かを防衛する、という意図が必要であり、その意図がない行為は正当防衛とはならない。また、過剰防衛についても同様であり、その意図が明確でなければならない。

判例7
 刑法第68条の正当防衛となる行為は、意図的行為でなければならない。被告人は銃を取り出し、被害者を脅したが、過失から銃を発射し、被害者は死に至った。被告人の行為は、正当防衛ではない。(最高裁1986年86号)

第69条
 第67条及び第68条の場合にあって、行為者が理由に適した以上の行為、もしくは必要性を超えた行為、あるいは防衛行為を過剰に行ったのであれば、裁判所は、その行為に対する法律の規定よりも、軽い刑を言い渡すことができる。その行為が興奮、驚愕、恐怖から生じたものであれば、裁判所はその者を処罰しなくてもよい。

 最後の一文は、要するに、興奮、驚愕、恐怖から生じた行為は、突発的なもので、その行為は意図的ではない、従って過剰行為ではあっても、裁判所は無罪にすることができる、という意味である。
 なお、正当防衛(第68条)、過剰防衛(第69条)、激情にかられて行った行為(第72条)、すべて、先に事件を起こした場合には、主張することはできない。

9. 「激情にかられて」行った行為

 激情にかられて行った行為は、正当防衛又は過剰防衛かの争点になりやすいが、情状面からの減軽を条文として規定しているため、一般の犯罪においてもその適用が争点になりやすい。

第72条
 不当で非常な虐待を受けたことから発した激情により、虐待者に対して犯罪行為を行った場合、裁判所は、その行為に対する法律の規定よりも、軽い刑を言い渡してもよい。

判例1
 事件の夜、被告人は、1人で番小屋に泊まっていた。夫である被害者は、友人と酒を飲みに行き、深夜0時頃に被告人のところに来た。被害者は被告人に食事を用意してくるように言い、被告人は約120メートル離れた自宅へ食事を取りに行ったが、被害者は食べようとしないばかりか被告人に不平を言い、妾のことを口にした。被害者の行為は、不平等な理由による非常な心の虐待であり、被告人がその時、被害者を銃で撃ったことは、激情にかられた行為である。(最高裁1992年1249号)

 身体的な虐待でなく、精神的な虐待でも第72条は適用される。

判例2
 被告人の妻が被害者に強姦されたことを知ったとき、被告人は怒りを表さず、被害者に暴行を加えようともしなかった。被告人が、事件のことを知ってから3時間後に被害者と魚を捕りに出かけ、その時ナイフで被害者を斬りつけたことは、刑法第72条の虐待者に対して行った行為ではない。(最高裁1994年1203号)

 第72条は原則的に、その時、その場所でなくてはならないが、近接していれば、認められることがある。

判例3
 被害者は、被告人の家に入り、被告人スワンの妻ゲートに会った。被害者は、殺害や強姦をほのめかして罵って脅し、ゲートは叫び声をあげた。被害者は、急いで家から出たが、ちょうど被告人が戻って来、叫び声を聞いた。話を聞いて、被告人は、すぐに追いかけ、家から240メートルから280メートルのところで追いつき、道路上で被害者に暴力を振るい、死に至らしめた。被告人スワンの行為は、不平等な理由で虐待されたことで激情にかられて行ったものであり、そのときに虐待者に対して行ったものである。刑法第72条の激情にかられて行った行為は、虐待された場所、時間である必要はなく、近接した時間であれば、激情にかられて行ったものとする。(最高裁・大法廷1959年863号)

判例4
 Kに洗濯がきれいにできていないと罵られ、暴行を受けたことで、第1被告人が木でKを殴ったことは納得できるとしても、Kに罵られ、暴行を受けた後、第1被告人は、家の裏に木を探しに歩いて行っており、Kに暴行を加えることが適切かどうかを考える時間があった。さらに第1被告人が木で殴った後、Kはまだ息があってうめき声を漏らしており、第1被告人は、人に聞こえるのを恐れ、すっかり静かになるまで布で強くKの首を絞めたが、それはKのうめき声が人に聞こえるのを恐れてのことであり、虐待されたからではない。被告人の行為は、刑法第72条の激情にかられて行った行為ではない。(最高裁1992年708号)

 判例3、判例4の事件では、時間と場所が争点となっており、判例3は、虐待された 場所、時間でなくても近接した時間であれば第72条は適用できることを示し、判例4は、考える時間があった場合には適用できないことを示している。

判例5
 被害者の友人と被告人の友人は殴り合いをし、被告人は、被告人の友人を助けるために、被害者の友人を蹴り飛ばした。そのため、被害者は、被害者の友人を助けるために被告人を蹴った。被告人が先に被害者の友人に暴力を振るっているため、被告人は、不平等な理由で非常な虐待を受けているとはいえず、被告人がナイフで被害者を刺したことは第72条の激情にかられて行った行為ではない。(最高裁1969年1449号)

 先に述べたように、先に手を出した場合、事件の元を作った場合には、第72条は適用されない。

10. 未遂

 行為には様々な段階があるが、大まかに分ければ、準備段階と着手段階と2つに分けることができる。準備段階における行為については、刑法第219条のように、特に規定のない限り、処罰の対象にはならないが、着手段階における行為は未遂罪として処罰の対象となる。従って、未遂罪となる行為は、実際にその行為を行う意図を持ち、その行為の着手に入った行為でなければならず、どの段階から着手行為とするのか、あるいは本当にその行為を行う意図があったのかが問題となってくる。

第80条
 犯罪行為を行ったが完全に行わなかった、もしくは完全に行ったが結果が生じなかった場合、それは未遂である。
 未遂は、その犯罪に対して法律が規定した刑の3分の2に処する。

第219条
 第217条、第218条の犯罪の準備行為は、その犯罪の未遂と同様に処する。

判例1
 第1被告人は、オートバイを運転し、Sを待ち伏せた。Hが自動車を運転し、現場に来たとき、第1被告人は、Sの顔を知らないため、HがSであると誤解し、Hを殺害の意図を持って、けん銃で狙いをつけたところ、Hは手を振り、Sでないことを知らせたため、第1被告人は、撃たなかった。それは行為の着手には入っていたが、最後までやり遂げなかったことであり、第1被告人は、刑法第289条(4)及び第80条の罪となる。(最高裁1988年1451号)

 人物を誤解していた場合も全く同等に処罰することは、未遂罪も同じである。

判例2
 被告人は、弾をつめた散弾銃を持ち上げ、被害者に向け、殺すと言った。しかし被告人に抱きつき、阻止に入った人が現れたため、被害者は走って逃げた。まだ撃鉄を上げていなかった、あるいはまだ引き金に指を触れていなかったとしても、撃つために銃を上げ、目標物に狙いをつけたときから行為は始まっており、被告人は、殺人未遂罪となる。(最高裁1975年1746号)

判例3
 被告人が池で被害者と会ったとき、被害者は、聾唖者である被害者の甥に対する暴行のことを被告人に言った。被告人にはそれが不満であり、これ以上話すと撃つぞと言い、被害者は、撃ってみろと挑んだ。被告人は、けん銃を掴み、銃口が腰から離れ、未だ被害者に向けられていないときに、被害者に奪い取られたが、被告人がけん銃を抜いたことは、準備段階にすぎず、未だ着手の段階には入っていない。被告人は、被害者が撃ってみろと挑んだために脅そうとする仕草をしただけなのかもしれず、被告人が殺害の意図を持っていたとするには不十分であり、第80条の未遂罪にはあたらない。(最高裁1969年1647号)

 けん銃を用いての犯罪は、まさにその目標物に狙いをつけたとき、実際にその行為をやろうとする意図を持ってその行動に移った、すなわち着手行為に入ったとされ、抜くだけでは未だ準備段階の行為と見なされるか、あるいは単なる脅しの素振りと見なされる。

判例4
 被告人は、けん銃で約15秒間、被害者に狙いをつけていたが、引き金を引かなかった。被告人が被害者を撃つ意図を持っていたのであれば、被害者が他の者の陰に逃げる前に撃つこともできた。被告人の行為は、単に銃で狙いをつけて被害者を脅しただけにすぎない。(最高裁1986年1022号)

 実際に狙いをつけたとしても、機会がありながらやらなかった場合には、その行為を本当にやろうという意図はなかったものとし、未遂罪とはならない。

判例5
 被告人2名が逮捕されたとき、下院議員選挙投票日までわずか3日しかなく、それは投票日に近接した日時である。さらに被告人2名は、紙幣を束ねており、有権者に配る用意をしていた。被告人は、紙幣を束ね、100束ずつで縛っており、箱と袋に入れ、選挙関係者に配る用意をしていたことは、被告人が支援する候補者に投票してもらうよう誘引するための有権者への紙幣の配布の最終段階であり、犯罪の完成に近接した行為である。それは準備段階を通過し、着手に入っており、警官による逮捕のために完成しなかっただけで、有権者への贈品未遂の罪となる。証拠品である紙幣は、犯罪のために使用する財物であるとし、裁判所は刑法第33条(1)に基づいて没収する。(最高裁1997年7562号)

 この種の事件にあっては、どの段階で最終段階とするかは裁判所の判断によるが、結果にどの程度近接しているかが判断の指標になる。どのような事件であれ、「最終段階」と裁判所が判断する時期に入らなければ、未遂罪とはならない。

11. 共同正犯と幇助

 どこまでを幇助とし、どこからを共同正犯とするか、その解釈もまた、争点となる。

第83条
 複数の者の行為により犯罪が生じた場合、共に犯罪を行った者は正犯であり、その行為に対して法律が規定した刑を受けなくてはならない。

第86条
 他の者が犯罪行為を行うにあたって、事前に、又はその行為中に援助した、もしくは便宜を図った者は、犯罪行為を行った者がその援助、便宜を知らなかったとしても、犯罪幇助者となり、その犯罪に対して定められた刑の3分の2を受けなければならない。

判例1
 被告人は、被告人の仲間たちが強姦できるよう、被害者を連れ出してきたが、被告人が事前に仲間たちと共謀していたとしても、連れ出したことは、被告人の仲間たちが強姦をする前の出来事であり、仲間たちが強姦をしているとき、被告人は、その犯罪を共に行っている共同正犯としての行為は行っていない。被告人は、現場には居合わせておらず、また姦淫もしていないため、共同正犯とはされない。被告人が、仲間たちが強姦できるよう、事前に共謀して被害者を連れ出したことは、強姦のための援助又は便宜行為であり、第86条に基づき、犯罪幇助の罪となる。(最高裁1998年5731号)

 強姦そのものには被告人は関与していないため、強姦の共同正犯とはならない。これが仮に、姦淫しなくても、被害者の体を押さえつけていたり、あるいはけん銃を見せて、おとなしくしなければ殺す、とでも脅していれば、強姦行為そのものを行うための役割を担っていたとされ、強姦の共同正犯となる。

判例2
 被告人は被害者に、PとYが被害者と性行為をしたがっていることを告げたが、被害者は拒否した。そこで被告人は立ち上がって、PとYが被害者を強姦するのを人に見られないようにドアのところに座った。それらの状況は、被告人が、PとYが強姦できるように2人と共同していたことを示しており、よって被告人は、共同正犯である。」(最高裁1990年1313号)

判例3
 被告人4名は全員、けん銃を発射せず、仲間たちが被害者の財物を持ち去ったとしても、第1被告人は、家に侵入した実行犯たちの中におり、第2被告人は、実行犯が逃亡する際、車を運転し、第3被告人は、Cにけん銃を突きつけ、第4被告人は、家の前にいた実行犯たちと共に様子を窺い、いつでも援助できる準備をしていた。これらは役割の分担であり、共に犯罪を行ったものとする。(最高裁1995年47号)

判例4
 事件前、被害者とその妻と被告人は、被害者の家で酒を飲み、被害者と被告人は言い争いをして殴り合ったが、止められた。被告人は被害者に恨みを持ち、仲間を連れて仕返しに行った。被告人は、仲間たちが刃物と1メートルの3角材を武器として所持しているのを知っており、仲間たちは被害者を殴り、被害者は運河に落ち、さらに木で殴り、刃物で刺して、被害者を死に至らしめた。被告人が殺害の実行犯でないとしても、仲間たちが被害者を殺害するのを見守っており、被害者を助けに行けないように被害者の妻の手を掴み、仲間たちが被害者を殺害するのをそのままにしておいた。被告人は他の者と共謀して、故意に人を殺害した共同正犯となる。(最高裁1989年3393号)

判例5
 第1被告人は、塀際で被害者と言い争い、第2被告人は、鉈を持って、殺すと叫びながら家から走って出て来た。第2被告人の態度及び言葉は、第2被告人が殺害の意図を持っていることを示すもので、第1被告人が第2被告人の手から鉈を掴み取り、塀をかき分けて入り、斬りつけて殺害したことは、第2被告人の意図に叶う行為であり、第1被告人が斬りつけた後、塀越しに第2被告人に鉈を渡し、第2被告人は鉈を持って逃走した。第2被告人の行為は、第1被告人と共同して被害者を殺害したものであり、よって第2被告人は、刑法第83条に基づき、共同正犯となる。(最高裁1969年382号)

判例6
 Sは、被害者の顔を1回殴り、被害者は倒れて立ち上がった。その間に被告人は、Sに短銃を渡し、Sはその銃で被害者を1回撃った。弾丸は右腕に命中し、被害者は身体に傷害を受けることとなった。被告人が犯行現場にいたとしても、被告人がSに撃つように言った、あるいは命じた事実はなく、また、Sの行為に協力した事実もない。Sが被害者を撃つか撃たないかは、S本人の判断であり、被告人の行為は、Sが被害者を殺害しようとすることの援助又は便宜であり、よって犯罪幇助の罪である。(最高裁1988年4444号)

判例7
 被告人が被害者を撃とうとしたとき、被害者は、被告人からけん銃を奪おうとして取り組み合いになった。取り組み合っているとき、Kが走って来、被告人は、Kにけん銃を渡したが、被告人は、被告人がKに被害者を撃ってもらいたいという意図を持っていることをKに理解させる言葉も態度も表さなかった。Kは、被告人からけん銃を受け取ったが、後ろに退いて、すぐには発射せず、被害者がKからけん銃を奪おうとしたとき、被害者を撃った。Kが被害者を撃つ意図を持っていたことを被告人が知っていた、あるいは予想していたとは言い難く、被告人が、Kが被害者を撃つことの援助をした、又は便宜を図ったとは言えない。(最高裁1989年1449号)

 共同正犯とするか、幇助とするかは、どのような意図を持っていたかにより、基本的には意図を共有していた場合、共同正犯とされ、実行犯が持っていた意図を共有していない場合、幇助とされる。判例5も判例6も、同じように凶器を手渡しているわけだが、判例5の場合、第2被告人は、第1被告人と共通の意図を持っているが故に共同正犯となり、判例6の場合、被告人は、Sと共通の意図、すなわち被害者を殺害しようとする意図は持っていなかったが故に幇助となる。生じうる結果を同じように期待し、そのための役割分担、プロセスを担っているのが共同正犯であり、どのような結果が生じるかは無関心に、単にその犯行に協力するのが幇助である。判例1の場合でも、強姦のために被害者を連れてきてはいるが、実際に強姦する、しないは、被告人には関係ないため、幇助となっている。
 また、判例6と判例7も、同じように凶器を手渡しており、判例6では幇助とされているが、判例7では共同正犯でもなければ幇助でもない。判例6の場合、撃つ、撃たないはS次第とはいっても、撃つだろうことは予想した上で手渡しているが、判例7の場合、被告人は、被害者にけん銃を奪われたくないと言う理由によってKにけん銃を手渡している。従って、Kが被害者を撃ったことについては、被告人は何ら関与しておらず、共同正犯でもなければ幇助でもない。

12. 使役人と被使役人

 第84条に規定されている。

第84条
 使役、強制、脅迫、雇用、依頼、誘引、奨励などの方法で他の者に犯罪行為を行わせた者は、犯罪を行わせた使役人となる。
 被使役人がその犯罪を行った場合、使役人は正犯として罰せられ、被使役人が行為を拒否した、あるいは未だ着手していないなどの理由により、使役人が行わせようとした犯罪が実行されていない場合、使役人は、その犯罪に対して法律が規定した刑の3分の1を受ける。

判例1
 森林係官であるNと部下たちは、トラックの荷台に違法加工された材木を発見した。被告人は、逮捕しないよう求めたが、森林係官は受け入れなかった。被告人は、遮る者がいたらぶつけるように言って、運転手に車を運転するよう命じ、運転手はそのとおりに車を運転して逃走した。トラックは遮ったNに当たり、Nは、左手甲、左腰関節、背中に擦傷、及び脚と身体に打撲を受けることとなった。運転手の行為は、職務執行中の係官を殺害しようとしたもので、被告人の行為は他の者を使って犯罪を行わせたものであり、被告人は、正犯として処罰される。(最高裁1986年784号)

判例2
 第1被告人は、第2被告人と第3被告人と仲間たちを使って、被害者の財物を強奪しに行かせた。その集団強盗により、被害者は、死に至ることとなり、刑法第340条最終段落の罪となる。使役人である第1被告人は、第2被告人と第3被告人と同様に集団強盗の正犯であり、被使役人の行為の結果に責任を負わなければならない。(最高裁1989年1459号)

第340条
 3名以上の共同で強盗を行った者は、集団強盗の罪となり、10年以上15年以下の禁錮及び2万バーツ以上3万バーツ以下の罰金に処する。
 何れかの者が武器を所持していたときは、12年以上20年以下の禁錮及び2万4千バーツ以上4万バーツ以下の罰金に処する。
 集団強盗により、他の者に重傷を負わせたときは、終身禁錮又は15年以上20年以下の禁錮に処する。
 集団強盗が他の者の身体、心神に危害を与えるまでに残忍性を示して行なわれた場合、もしくはけん銃、爆発物の使用、あるいは虐待によって行われた場合、終身禁錮又は15年以上20年以下の禁錮に処する。
 集団強盗により、他の者を死に至らしめたときは、死刑に処する。

 仮に第1被告人が第2被告人、第3被告人、その仲間たちに、物をとるだけで殺してはいけない、と命じていたとしても、第63条、第84条、第89条により、第1被告人は、集団強盗正犯となる。

第63条
 犯罪行為の結果により、行為者に科される刑が重くなるときは、その犯罪行為の結果は通常に起こりうる結果でなくてはならない。

第89条
 刑の免除、減軽、加重となる個人的な理由がある場合、その理由はその犯罪行為に関する他の行為者に適用することはできないが、事件の性質上、理由になりうると認められる場合、すべての行為者に適用する。

 第63条は因果関係の問題であり、仮に殺害の意図はなかったとしても、集団強盗行為と被害者の死に因果関係がある限り、行為者は、その結果に責任をとらなくてはならず、実行犯でないとしても、行為者として責任をとらなければならない。第89条は、連帯責任の問題であり、仮に第2被告人が家族を人質にとられ、やらなければ家族を殺す、と脅されていたのであれば、第67条又は第69条の適用により、刑は免除されるか、減軽されるが、それは第2被告人のみに適用され、他の行為者には適用されず、そのような理由のないとき、被害者の死という事項は、行為者全員に刑が加重される理由となる。
 ただし、使役人の意図と被使役人の意図が異なっており、被使役人が使役人の意図を超えて行った場合、その意図についての規定に違いがあれば、使役人は、自分の意図と被使役人の行為の結果についてのみ責任を負う。判例2の集団強盗(3名以上で行う強盗)の場合、第340条最終段落の「集団強盗により、他の者を死に至らしめたときは、死刑に処する。」の1文により、殺害の意図の有無は問われないが、2名以下の強盗の場合だと、意図の違いで罪も違ってくる。例えば、AがBを使ってCの財物を強盗に行かせたとする。その際、Aは、殴るだけで殺すな、と命じたが、Bは最初からCを殺すつもりで行き、殺した後、財物を盗んできたとする。この場合、Aは、第339条最終段落が適用され、刑は死刑か終身禁錮のどちらかとなるが、Bは、第289条(6)号が適用され、刑は死刑のみとなる。

第339条
 暴力を行使して財物を窃取した者、以下のことのために暴力の行使を示唆した者は、強盗の罪となり、5年以上10年以下の禁錮及び1万バーツ以上2万バーツ以下の罰金に処する。
(1)財物の窃取、運搬における便宜のため。
(2)財物を提供させるため。
(3)財物の保持のため。
(4)犯行の隠匿のため。
(5)逮捕から逃れるため。
 第335条の何れかに該当する場合、又は農業従事者が農業のために所持している牛、水牛、器具、機械などの財物に対して行われた場合、10年以上15年以下の禁錮及び2万バーツ以上3万バーツ以下の罰金に処する。
 強盗により、他の者の身体、心神に危害を与えたときは、10年以上20年以下の禁錮及び2万バーツ以上4万バーツ以下の罰金に処する。
 強盗により、他の者に重傷を負わせたときは、15年以上20年以下の禁錮及び3万バーツ以上4万バーツ以下の罰金に処する。
 強盗行為により、他の者を死に至らしめたときは、死刑又は終身禁錮に処する。

第289条
 以下の者は、死刑に処する。
(1)両親、祖父母、曾祖父母を殺害した者。
(2)職務執行中にある係官を殺害した者、又は職務を執行する、執行したという理由により、殺害した者。
(3)係官の職務執行を補助している者を殺害した者、又は補助する、補助したという理由により、殺害した者。
(4)事前に十分な思慮を重ねて人を殺害した者。
(5)虐待、拷問により、人を殺害した者。
(6)他の犯罪を行うにあたっての準備又は便宜のために人を殺害した者。
(7)自己が行った他の犯罪による利益を得るため、又は保持するため、もしくは刑事責任の回避、隠匿のために人を殺害した者。

 Bは窃盗の便宜のためにCを殺害したわけであり、第289条が適用される。

判例3
 被害者と友人は、特殊マッサージ場から第1被告人と第2被告人を連れ出し、ホテルで性交を行った。その後、被害者と友人は、相手を変えようとしたが、第1被告人と第2被告人は承諾せず、言い争いが生じた。第1被告人と第2被告人はホテルを出て、第3被告人に話し、第3被告人に、ちょっと教えてやってくれ、と言い、第3被告人を事件現場に連れて行き、被害者と友人を指し示した。第1被告人と第2被告人が第3被告人に、ちょっと教えてやってくれ、と頼み、第3被告人を連れて行って、被害者と友人を指し示したことは、被害者に対する暴行のために連れて行ったことであり、第1被告人と第2被告人が指し示さなければ、第3被告人は、その教えるべき相手が誰であるかはわからなかった。 「ちょっと教えてやってくれ」という言葉は、教え諭すために暴行を加える、という意味に過ぎず、殺害の意図はない。第3被告人が被害者を殺害したことは、第1被告人と第2被告人の使役の範疇を超えるものであり、第1被告人と第2被告人は、刑法第87条の範囲内で刑事責任を負うのみとなる。しかし第1被告人と第2被告人が教え諭すための暴行しか意図しなかったとしても、死という結果が第1被告人と第2被告人が使役人である暴行から発生した結果であるとき、第1被告人と第2被告人は、刑法第290条の人に暴行を加えて死に至らしめた罪となり、第89条が付随する第84条及び第290条の罪となる。(最高裁・大法廷1985年4941号)

判例4
 人を雇い、その者に殺し屋を雇わせようとしたが、最初の雇われ人は殺し屋を雇っておらず、それは未だ準備段階であり、結果からは程遠く、最初の雇われ人を第84条の使役人にさせようとしたことであるため、第84条の人を使って犯罪を行わせようとした罪とはならない。」(最高裁1953年392号)

判例5
 第1被告人は、被害者を殺害する意図を持ち、第2被告人を雇って被害者を殺害する殺し屋を探させた。第2被告人は、殺し屋を雇ったが、犯罪は未だ実行されていないため、第1被告人と第2被告人は、それぞれ使役人として、第289条(4)の3分の1の罪を負わなければならない。(最高裁1989年1835号)

 使役人と被使役人の双方が揃わなければ、第84条は適用されない。

判例6
 職場の主任である第1被告人は、特別賃金を支払うことで、リットとナーイを使って倉庫にあるタバコの葉を運ばせた。リットとナーイは事実を知らなかったため、犯罪を行ったとはされず、第1被告人は、第335条の窃盗罪であり、第84条の使役人ではない。その財物を受け取った第2被告人は、それが犯罪から得た財物であることを知って受け取っており、盗品受領である。(最高裁1979年2961号)

 被使役人が事実関係に無知であった場合、単なる道具と見なされ、罪はない。従って、第84条は適用されない。

13. 複数の罪状に触れる1個の行為と複数の行為

 複数の犯罪行為については、第90条及び第91条に規定されているが、第90条は1個の行為が2個以上の罪状に触れる場合についての規定であり、第91条は併合罪についての規定である。これらの規定を適用する際には、どのような場合、1個の行為であると見なすのか、あるいは複数の行為であると見なすのかが問題となってくる。

第90条
 1個の行為が複数の規定に抵触するとき、最も刑が重い規定を適用する。

第91条
 複数の犯罪行為を行ったとき、裁判所はすべての行為について、その者を処罰する。刑を加重する、減軽するに関わらず、すべての刑を合わせたとき、禁錮刑は以下に規定するところを超えてはならない。
(1)最も刑の重い行為に対する量刑の上限が3年未満の場合は、10年。
(2)最も刑の重い行為に対する量刑が3年以上10年未満の場合は、20年。
(3)最も刑の重い行為に対する量刑が10年以上の場合は、裁判所が終身禁錮刑を言い渡した場合を除き、50年。

判例1
 被告人は、最初の弾丸で被害者を撃ったが、2発目の弾丸は逸れてSに命中した。被告人は、群衆の中にいる被害者を狙って2発続けて撃ち、その弾丸が逸れてSに当たり、Sは傷害を受けることとなった。被告人の行為は、死亡した被害者を殺害する目的の行為であり、それとは別にSを殺害しようとする意図はなかった。よって被告人の行為は、複数の罪名に触れる1個の行為である。」(最高裁1988年2852号)

 この場合は、死亡した被害者に対する殺人罪のみとなる。しかし、Sを実際に殺害したいと思う被害者であると誤解し、1発目の弾丸でSを撃って傷害を負わせたが、撃った後、間違いであることに気づき、すぐに被害者を狙って撃ち、殺害したような場合では、第61条が適用され、Sに対する傷害罪と死亡した被害者に対する殺人罪との2つの罪になる。

判例2
 被告人は、連続してけん銃でLを2発撃ち、Nを1発撃って、LとNを死亡させたが、それぞれの弾丸を撃つにあたり、どの弾丸でどの被害者を撃とうとしたのか、その被告人の意図及び目的は、分離することができる。よって被告人の行為は、2個の罪となる。(最高裁1991年5929号)

判例3
 被告人は、以前からPとYに恨みを持っており、PとYを殺害する意図を持ち、1台のオートバイに2人乗りしているときに、PとYを撃った。PとYを2、3回撃ったことは、同時にPとYを殺害するためのもので、よって被告人の行為は、複数の罪状に触れる1個の罪である。(最高裁1978年1666号)

 判例2は、弾丸と意図の関係が明確であるが、判例3は明確でなく、どの弾丸が誰を狙ったのかは断定できない。オートバイが倒れれば2人とも死ぬだろうという憶測でもって、PとYに向けて発砲したわけであり、同時に2人を殺害しようとした1罪となる。

判例4
 被告人は、作業用刀でPを刺そうと追いかけたが、Pは逃げることができた。Dが遮ったとき、被告人はDを斬りつけたが、それらの行為は、Pに対する傷害未遂とDに対する傷害との2つに分けることができる。(最高裁1984年1179号)

判例5
 被告人は、板刀で第1原告を斬りつけ、額右側に当たって重傷を負わせることとなった。被告人は、さらに斬りつけようとしたが、第1原告の妻である第2原告が遮り、第2原告の頭に当たった。被告人は、さらに斬りつけようとしたが、原告は手を挙げて防ぎ、指が切れ、第2原告に傷害を負わせた。被告人は、激情にかられて行ったものであり、第72条が付随する第295条及び第297条の罪となるが、被告人の行為は、複数の罪状に触れる1個の行為であり、よって第72条を適用し、最も罪が重い第297条に従って処罰する。」(最高裁1989年946号)

 判例4は、未だ斬りつける一連の動作に入っていないときに妨害者が現れたケースであ り、判例5は、その動作に入った後、妨害者が現れたケースである。判例5のように、暴行を阻止しようとした第2原告を斬りつけたとしても、すでに第1原告を斬りつける動作に入った後では、複数の罪名に触れる1個の行為と見なされる。

判例6
 被告人は、けん銃でCを撃ち、家に帰った。その夜、Cはまだ死亡していないことを知り、Cのところへ行って竹でCを殴って殺害したが、それはCを殺害するという同じ目的によってであり、時間が近接しているとき、それらの行為は第288条の罪1個となる。」(最高裁1986年3398号)

 時間が離れていれば、殺人未遂と殺人と2つの罪になるが、時間が近接していれば、 前の行為の意図が持続しているものとし、1罪となる。

判例7
 被告人がけん銃で脅し、被害者に住居のドアを開けさせ、被害者と中に入ったが、被告人は、すぐにはけん銃を発射せず、被害者が被告人と寝室に入るのを拒否したとき、発射した。被害者の住居に侵入した当初は、被害者を撃つ意図はなかったことは窺い知ることができ、よって被告人の行為は、殺人未遂と住居侵入の2罪である。(最高裁1992年321号)

 被告人が強姦目的で被害者にドアを開けさせて中に入り、その目的を達したのであれば、それは1個の行為とし、住居侵入よりも刑が重い強姦で処罰するわけだが、強姦目的で侵入したにも関わらず、その目的が達成できなかったが故に暴行を加えた場合、侵入の目的と実際の行為とが違っているため、2罪となる。

判例8
 被告人がわいせつ目的で被害者を連れ出したことと母親から未成年者を引き離したことは、被害者に対する罪と被害者の母親に対する罪が同時に行われたことであり、被告人は、1罪ではなく、それぞれ別の犯罪を生じさせる意図を持っていたものとする。(最高裁1988年2939号)

 女性が18歳以上であり、合意のもとに付いていったのであれば、それは犯罪にはならない。女性が拒否したにも関わらず、無理矢理連れて行って姦淫したのであれば、それは強姦である。女性が18歳未満の少女であれば、1個の行為とはいえ、その少女に対する性行為の他に、親に対する子の略取という全く違った種類の行為に分けることができるため、1罪ではなく、2罪として処罰する。

第317条
 適切な理由なく、15歳未満の児童を父母、保護者、監督者から離別させた者は、3年以上15年以下の禁錮及び6千バーツ以上3万バーツ以下の罰金に処する。
 前段落の児童の売買、受け取りをした者は、児童を連れ去った者と同様に罰する。
 本条の行為が営利、わいせつを目的としたものであれば、5年以上20年以下の禁錮及び1万バーツ以上4万バーツ未満の罰金に処する。

第318条
 15歳以上18歳未満の少年を、その意に反して父母、保護者、監督者から離別させた者は、2年以上10年以下の禁錮及び4千バーツ以上2万バーツ以下の罰金に処する。
 前段落の少年の売買、受け取りをした者は、少年を連れ去った者と同様に罰する。
 本条の行為が営利、わいせつを目的としたものであれば、3年以上15年以下の禁錮及び6千バーツ以上3万バーツ未満の罰金に処する。

14. 禁錮期間の計算

 禁錮期間の計算は、何らかの数式で算出される。判決が日本と違っているのは、「○○に処するが、減軽して ~ にする」という具合に、一旦刑を言い渡し、その後実際に科す刑罰を言い渡すというところである。刑法第2編に定められた罰則は、一旦言い渡す刑であり、それがそのまま執行されるとは限らない。どの程度減軽するかということについては、裁判所の判断によるところが大きいが、最終的に言い渡す刑は算術的である。

判例1
 被告人は、刑法289条(4)の罪となるが、その犯罪に対して定められた刑の3分の1に処する第84条第2段落が付随する。第52条(1)に基づき、死刑の3分の1の減軽は終身禁錮であり、死刑の3分の2の刑である終身禁錮を第53条に基づき、禁錮50年に変更する。死刑の3分の1は、すなわち禁錮50年の半分であり、従って禁錮25年となる。(最高裁1985年3611号)

第84条
 使役、強制、脅迫、雇用、依頼、誘引、奨励などの方法で他の者に犯罪行為を行わせた者は、犯罪を行わせた使役人となる。
 被使役人がその犯罪を行った場合、使役人は正犯として罰せられ、被使役人が行為を拒否した、あるいは未だ着手していないなどの理由により、使役人が行わせようとした犯罪が実行されていない場合、使役人は、その犯罪に対して法律が規定した刑の3分の1を受ける。

第52条
 死刑の減軽にあたっては、罰則項の条項による減軽等に関わらず、以下のように減軽する。
(1)3分の1の減軽は、終身禁錮とする。
(2)半分の減軽は、終身禁錮又は25年以上50年以下の禁錮とする。

第53条
 終身禁錮の減軽にあたっては、罰則項の条項による減軽等に関わらず、50年の禁錮とする。

 死刑の3分の2の減軽は定められておらず、1985年3611号は、その算出方法を示した判決である。第289条は量刑は死刑のみであり、死刑の3分の2は終身禁錮(3分の1減軽する=3分の2を科す)、第53条で終身禁錮を一旦50年に減軽し、それを半分にすることにより、死刑の3分の1ということで、25という数字を算出している。
 第2編の条文を読むと、それぞれの犯罪に対する罰則は、日本よりも重いという印象を受けるが、実際には、人を殺害した(罰則は15年以上20年以下)としても、第72条と第78条が適用されれば酌量減軽となり、その刑も随分、軽いものになる。

判例2
 刑法第277条第3段落の犯罪は、終身禁錮に処するものであるが、未遂のときには3分の2に処する。それは3分の1を減軽するということであり、この場合、終身禁錮は第53条に従い、禁錮50年に変更しなければならず、計算すると33年4ヶ月になる。被告人は2名とも自供しており、第78条により、さらに半分、刑を減軽する理由があると認められるため、双方ともに16年8ヶ月とする。これは法律の最低水準の禁錮刑であり、これ以外の刑を科すことはできない。さらに第1被告人は、犯行時の年齢が18歳であり、凶悪な行為もなく、また被害者に対して賠償もしており、さらに半分、刑を減軽する理由が認められるため、第1被告人については、8年4ヶ月とする。(最高裁1998年763号)

第277条
 15歳未満の自己の妻でない少女と姦淫した者は、少女の合意の有無に関わらず、4年以上20年以下の禁錮及び8千バーツ以上4万バーツ以下の罰金に処する。
 前段落の行為が13歳未満の少女に対するものであれば、終身禁錮もしくは7年以上20年以下の禁錮及び1万4千バーツ以上4万バーツ以下の罰金に処する。
 前第2段落の行為が集団による輪姦で、その少女の意に反したものであれば、あるいは武器、けん銃、爆発物の所持又は行使によるものであれば、終身禁錮に処する。
 第1段落の行為が13歳以上15歳未満の少女に対するもので、その少女が合意しており、さらに後日、裁判所が婚姻を許可すれば、刑を受けなくてもよい。その罪によって刑を受けている期間に裁判所が婚姻を許可すれば、裁判所はその者を釈放する。

 被告人は、双方とも自供したということで、第78条が適用されているが、第1被告人は、さらに年齢、賠償などの点で考慮する余地があるものとし、もう1度、第78条を適用している。第78条は半分以下に減軽することはできないが、第1被告人と第2被告人の減軽が同じでは不平等であることから、まず、自供したという同じ理由により、同等の率で平等に減軽し、その後、第1被告人のみにある理由により、もう1度、第78条を第1被告人のみに適用して減軽している。

第78条
 本法又は他の法律による刑の加重、減軽の規定の有無に関わらず、減軽の理由となる事項が明らかになったとき、裁判所が適切と認めれば、その者に科す刑を半分未満の割合で減軽してもよい。
 減軽の理由とは、無学無知であった、非常な困苦の下におかれていた、これまでの品行は方正であった、罪を自覚し、犯罪行為の結果を軽減しようとした、罪を認め、係官に赦しを求めた、裁判所が事件審理に有益と認める事実を提供した、あるいは裁判所が適切と認めた他の事項である。

15. 国外犯

 領土外で犯罪を行った場合、国外犯となるが、領土外で行ったとしても、領土内で行ったと見なす場合もある。

第4条
 領土内で犯罪となることを行った者は、法律に従って刑を受けなければならない。
タイ国籍船舶もしくは航空機内での犯罪は、場所を問わず、領土内での犯罪とする。

第5条
 部分的ではあっても、領土内で行い、その行為の結果が領土内で生じることを意図し、領土内で生じたとき、あるいはその行為の形態から、その結果が領土内で生じてしかるべきとき、もしくは領土内で結果が生じることが予見できるとき、その犯罪は領土内で行われたものとする。
 法律が犯罪であると規定している準備行為、又はその遂行を意図した行為は、領土外で行われているとしても、その行為を遂行したとき、結果が領土内で生じるのであれば、その準備行為又は遂行を意図した行為は、領土内で行われたものとする。

判例1
 タイ船舶内で事件は起きており、領土内での犯罪である。領土内で刑事調査審問権を有する調査審問官、鎮圧部隊、警察局は、調査審問権を有する。(最高裁1992年2670号)

判例2
 わいせつのために未成年者を略取した犯罪は、被告人がタイにある家の前の通りの入り口で被害者を自動車に乗せたときから始まっており、被告人が被害者を姦淫したのは日本であるとしても、被告人の行為の1部はタイで行われており、刑法第5条に基づき、領土内で行われた犯罪とする。(最高裁1988年1645号)

判例3
 被告人と仲間たちは、身代金のためにマレーシア人である被害者を拘束し、被害者に車を運転させて、タイ国境に向かった。被告人と仲間たちの住居地はタイ領土内にあることから、そのままタイ領土内に入ってくるものと思われ、領土内外で継続している犯罪である。よって被告人を逮捕したサトゥーン県クアン郡警察署調査審問官は、調査審問権を有する。(最高裁1983年1586号)

判例4
 タイ銀行タイペイ支店の支店長は、タイ人であり、支店長補佐である被告人に金銭を渡し、銀行の金銭を他の銀行に預金させた。被告人は、その金銭の管理者であり、被告人が不正に金銭を引き出したことは、第354条の罪となり、銀行は被害者として告訴することができ、タイの裁判所で処罰することができる。(最高裁1978年1289号)

 判例1は第4条第2段落、判例2は第5条第1段落、判例3は第5条第2段落に基づいている。判例4は、第8条(ア)に基づき、国外犯としている。

第8条
 何人かが領土外で犯罪を行い、
(ア)その犯行人がタイ人で、その犯罪が生じた国の政府、もしくは被害者が処罰を申請したとき、あるいは
(イ)その犯行人が外国人で、タイ国政府、もしくはタイ人が被害者で、被害者が処罰を申請したとき、その犯罪が以下に示されているものであれば、領土内で刑を受けなくてはならない。
(1)第217条、第218条、第221条から第223条までの規定に基づく国民に対する危険行為にかかる犯罪。ただし、第220条第1段落に関する場合を除く。及び第224条、第226条、第228条から第232条、第237条、第233条から第236条までの規定に基づく国民に対する危険行為にかかる犯罪。ただし、第238条に基づいて罰せられる場合のときのみとする。
(2)第264条、第265条、第266条(1)項及び(2)項、第268条の規定に基づく書類にかかる犯罪。ただし、第267条及び第269条に関する場合を除く。
(3)第276条、第280条及び第276条に関する第285条の規定に基づく性にかかる犯罪。
(4)第288条から第290条の規定に基づく生命に対する犯罪。
(5)第295条から第298条の規定に基づく身体に対する犯罪。
(6)第306条から第308条の規定に基づく児童、病人、老年者の保護遺棄にかかる犯罪。
(7)第309条、第310条、第312条から第315条、第317条から第320条の規定に基づく自由にかかる犯罪。
(8)第334条から第336条の規定に基づく窃盗及び引ったくりにかかる犯罪。
(9)第337条から第340条の規定に基づく恐喝、脅迫、強盗、集団強盗にかかる犯罪。
(10)第341条から第344条、第346条、第347条の規定に基づく詐欺にかかる犯罪。
(11)第352条から第354条の規定に基づく横領にかかる犯罪。
(12)第357条の規定に基づく盗品受領にかかる犯罪。
(13)第358条から第360条の規定に基づく財産喪失にかかる犯罪。


(終)